植物の生育状態を色や形状などの外観から計測する近接リモートセンシングに関する研究を行っています。
環境物理学、生物産業科学実験I、植物栽培と環境テクノロジー
メール:shono(at)iwate-u.ac.jp
教員研究室の所在:1号館4階420号室
本研究は、作物の栽培管理においてさまざまな有効性が期待される葉群の形状や分光情報の効率的かつ実用的な計測手法を確立することを目的としています。形状計測の成果は、テクスチャ解析手法の葉群画像に対する有効性に注目し、これを積極的に活用した研究です。例えば、葉群画像から抽出したテクスチャ特徴量から、混播された各牧草の混生群落の草種割合を推定したり、トマト群落の葉傾斜角の三次元分布を計測することが可能となりました。 さらに分光計測の研究では、エゾリンドウの花冠の分光反射特性が成熟ステージに伴って特徴的な変動を示す現象を発見しました。これらの分光情報は花の収穫適期や鮮度を判定する上で極めて有用です。ここで特に興味深いのは、開花期に紫外線領域で花冠が明るく輝く現象です。なぜ紫外線領域なのか、あるいはなぜ開花期に連動して光るのかなど、その生理的な機構や生態的な目的は不明で、現在も継続して研究中です。しかし、エゾリンドウは先の閉じた蕾状の花のため、受粉のためにはハチなどの昆虫を積極的に引きつけて中に誘導する必要があります。多くの昆虫には紫外線が見えるので、これらにアピールしているのかも知れません。下図の左はエゾリンドウの可視画像ですが、右は同じ花が紫外線に視覚のある昆虫にどの様に見えるかをシミュレートした画像です。少なくとも昆虫の眼には、人間とは全く異なる様に見えている様です。