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岩手大学農学部Faculty of Agriculture, Iwate University
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研究室・教員一覧

応用昆虫学研究室

研究室ホームページ
生産昆虫のカイコ、農業害虫のコナガ、森林害虫のコウモリガ、水棲昆虫のトビケラなどを研究対象として、染色体に刻まれた遺伝子情報を視覚化、昆虫の持つ潜在能力の発見することで害虫防除と昆虫利用を進める研究を行っています。

講師:安 嬰(あん いん)

研究内容

昆虫のドラマチックな休眠メカニズムを解明し、バイオイノベーションに向けた昆虫機能の利用について研究しています。

担当科目

分子昆虫学、応用昆虫学実験、人の暮らしと生物環境

メール:anying(at)iwate-u.ac.jp

教員研究室の所在:2号館4階403号室

天蚕麻痺性ペプチドによる蚕休眠卵の誘導機構と利用

 応用昆虫学研究室では、ヤママユ(天蚕、Antheraea yamamai)の体液から天蚕麻痺性ペプチド(Antheraea yamamai-Paralytic Peptide, Any-ParP)を単離同定しました。これは、鱗翅目昆虫のENFペプチドファミリーに属し、天蚕のみならずカイコの幼虫に対して麻痺性行動を誘起します。そこで、Any-ParPの生理活性の解析とその利用のため、二化性カイコの非休眠卵産生蛹にAny-ParPを注射しました。その結果、Any-ParPは非休眠卵産生蛹から休眠卵を誘導し、まったく新しい生理活性を提案することができました。また、カイコの休眠ホルモン(DH)を合成し、Any-ParPの休眠誘導活性と比較検討した結果、濃度依存性ならびにステージ感受性から、まったく異なる一次構造を有するAny-ParPが、DHのミミクリー機能を有することを明らかにすることができました。さらに、この誘導活性を鱗翅目昆虫のENFペプチドファミリーに属する6種類のペプチドを用いて検討いたしました結果、Any-ParPの誘導活性が最も高いことを明らかにしました。
 そこで、この新しい生理機能の機構解析のため、まずカイコ蛹におけるAny-ParPの標的器官を明らかにし、さらにAny-ParP依存性遺伝子とタンパク質の発現動態解析、ならびに単離同定と構造解析を行い、最終的にAny-ParPによるカイコ卵休眠誘導機構を明らかにします。
 一方、Any-ParPが独自の麻痺性生物検定系で検出できることと、カイコ休眠ホルモン(DH)を模倣していることから、学術的には昆虫における休眠卵誘導の機構解析のために新たな知見が提供できます。また、DHと比べ未受精卵の誘発は認められず、高濃度のAny-ParPによる休眠誘導は、昆虫における休眠卵誘導剤の応用開発のためにも重要な可能性を提案しています。
 現在は天蚕麻痺性ペプチドによる蚕休眠卵の誘導機構の解明と応用を目指し研究を行っています。


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