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植物栄養生理学研究室研究室ホームページ世界の食糧生産と環境を考える。世界の耕地で進む塩類化と砂漠化(人の活動が拍車をかける) 教授:河合 成直(かわい しげなお)研究内容イネ科植物が分泌する鉄溶解活性物質ムギネ酸の生理生化学、不良土壌における植物の耐性機構の生理学について研究しています。 担当科目植物栄養生理学、土壌肥料学 メール:skawai(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:4号館1階107号室 植物の養分吸収機構と土壌中の養分運搬物質の研究世界のほとんどの民族にとって主食であるイネ、コムギ、トウモロコシなどの生産力が、今後の食料供給において重要であることは周知の事実であります。わが国ではあまり知られていませんが、世界の耕地の約三割が塩類土壌不良土壌を含むアルカリ性土壌であり、そのアルカリ土壌では鉄が不溶化し、作物は潜在的に鉄欠乏となり減収します。米国や欧州では現在、その対策に苦慮しています。本学名誉教授の高城は、このイネ科植物において、根より分泌されるムギネ酸類と呼ばれる物質が土壌中の鉄を可溶化し、鉄を根内に運び込むことを昭和50年頃に世界に先駆けて証明しました。この物質の発見は将来、アルカリ土壌のみならず世界の多くの耕地におけるイネ科作物生産の向上に大きく寄与するであろうと考えられています。
具体的には、この物質の分泌能力の大きい作物種、品種が鉄欠乏耐性が強いと考えられるので、このムギネ酸類の分泌能を指標に作物種の選抜が可能であると考えられています。また、現在研究中であるムギネ酸類の生合成経路を明らかにし、その生合成経路を鉄欠に弱い作物に遺伝子導入により付与することで鉄欠耐性作物が作成できるのではないかと考えられています。ムギネ酸類の発見は、根が土に対して能動的に働きかけ、植物生育のため積極的に機能する機構を明らかにした最初の事例であり、今後このような生物の機能が農学分野でさらに見つかることが期待されています。
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