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研究室・教員一覧
獣医解剖学研究室 教授:山本 欣郎(やまもと よしお)研究内容組織学、生化学、生理学の手法を用いて、神経系の仕組みを明らかにします。 担当科目細胞システム学、動物組織学 メール:yyoshio(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:3号館4階416号室 呼吸反射に関与する感覚神経系の調節機構 感覚神経は外的刺激を受容し、中枢神経に向けて電気信号を送り出しています。私は特に呼吸を調節する反射経路にある知覚受容器、知覚神経節に注目し、感覚信号の調節がどのようにして行なわれているかを研究しています。 これまでに、免疫組織化学、透過型電子顕微鏡等の形態学的手法を用いて、鼻腔から気管支に至る気道において、形態の異なる複数の知覚受容器が部位特異的に分布していることを発見してきました(写真1)。これらの形態は、生理学的機能を反映しており、例えば気管や気管支の平滑筋層内に出現する樹枝状神経終末は、気道の内圧変化を感じとる伸展受容器の可能性が高いことを指摘しました。また、感覚神経細胞がある神経節において、末梢グリア細胞が感覚神経細胞の調節に関与する可能性をカルシウムイメージング法で解析しています。 また、呼吸調節における低酸素や高二酸化炭素などの環境ガス変化の重要性に注目し、呼吸調節のメカニズムについても研究しています。例えば、低酸素は動物の呼吸を変化させますが、時間が経つに連れて通常の呼吸に戻ってきます。このような状態のとき、血中酸素濃度の低下を監視する末梢化学受容器である頚動脈小体では、低酸素に対する反応を抑制する作用を持つカテコラミンの合成能が徐々に増加することを確かめました(写真2)。このことは、末梢化学受容器で低酸素に対する過剰な反応を回避する仕組みが存在することを示しています。現在は、低酸素によるカテコラミンの発現機構の解析や、環境ガス変化による呼吸調節に中枢神経系がどのように関与して末梢化学受容器とどのように調和を取っているか等の研究を生理学的な手法や形態学的な手法を使用して行なっています。
写真1 ラットの喉頭粘膜に認められる葉状神経終末 写真2 ラットの頚動脈小体におけるカテコラミン合成酵素の発現。チロシン水酸化酵素(左)、ドーパミン水酸化酵素(右)ともに化学受容細胞に存在する。
准教授:中牟田 信明(なかむた のぶあき)研究内容脊椎動物の嗅覚系、特に鋤鼻系の系統発生と個体発生に対する形態学的アプローチを行っています。 担当科目動物解剖学、動物解剖学実習 メール:nakamuta(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:3号館2階223号室 嗅覚器の形態と形態形成に関わる分子の研究 嗅覚器には嗅上皮と鋤鼻器の2つがあり、それぞれ匂い物質とフェロモンの受容に関わっていると大抵の教科書には記されていますが、最近の研究によれば、両嗅覚器の機能はそれほど明確には分離しておらず、むしろ、外界の情報を得るため互いに補い合って機能することが示されています。それだけでなく、嗅上皮や鋤鼻器のように良く知られている嗅覚器の他に、まだ研究が進んでいないマセラ器やグリューネバーグガングリオンと呼ばれるものがあり、より一層複雑さを増しています。 2004年にAxelとBuckがノーベル賞を受賞するきっかけとなった、匂い受容体や鋤鼻受容体の発見によって、嗅覚に関する理解は飛躍的な進歩を遂げました。それでもなお、無数にある匂い物質をどのように識別して認識しているのか、無意識のうちに作用するフェロモンを介してどのようなコミュニケーションが行われているのか、動物種によって様々に異なる嗅覚器の形態が、進化の過程でどのように変遷してきたのか等、まだまだ解決できていない疑問がたくさんあります。 水中から陸上へ、地上から空中へ、動物が生息域を拡大したのに伴って、個々の嗅覚器がどのように形を変え様々な環境へ適応しているのかといったこれまでの研究に加えて、現在は、嗅覚器を形づくる分子メカニズムの解明に取り組んでいます。
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