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研究室・教員一覧
植物病理学研究室研究室ホームページ 植物に病気を引き起こす病原ウイルスの基礎的研究、さらに、研究を発展させて農業や人間生活に役立つバイオテクノロジーをめざします。 教授:吉川 信幸 (よしかわ のぶゆき)研究内容植物病理学、植物ウイルス学分野を担当し、特にリンゴなどの落葉果樹のウイルスを研究しています。 担当科目植物病理学、生物制御学概論、植物栽培と環境テクノロジー メール:yoshikawa(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:2号館3階307号室 落葉果樹ウイルスの構造と機能に関する研究 リンゴなどの落葉果樹にはたくさんのウイルスが感染しています。その中のあるものは果樹を枯らすなどのウイルス病を引き起こしますが、病気を起こさない(これを潜在感染性といっています)無害のウイルスも見つかります。現在私たちの研究室では、潜在感染性のウイルスの一つであるリンゴ小球形潜在ウイルス(ALSV)の機能を、果樹の開花促進、植物の遺伝子機能解析、ウイルス病防除のための植物ウイルスワクチンなどに利用する研究に取り組んでいます。いくつか紹介します。 (1)果樹の開花促進技術 私たちは先ず、遺伝子操作技術を用いてALSVをいろんな遺伝子を植物で発現させることができる外来遺伝子発現用ウイルスベクターに改変しました。続いて、植物(シロイヌナズナ)で発見された開花促進遺伝子(FT遺伝子)をALSVベクターに連結し、リンゴ実生に感染させました。通常はリンゴでは種子が発芽してから開花するまでに5〜10年かかりますが、FTを発現するALSVベクターを感染させると、発芽後1.5ヶ月で開花させることに成功しました。現在は、この技術をリンゴ以外にも様々な果樹や作物で利用できるように研究を進めています。 (2)植物ウイルスワクチン 植物ウイルス病では、ウイルスに直接効果のある薬剤が未だ実用化されていないため、間接的な防除技術に頼らざるを得ません。また同種ウイルス間の干渉効果(クロスプロテクション)を利用した弱毒(ワクチン)ウイルスによる防除は有効な防除法ですが、ワクチンウイルスの作出が困難なため、ほんの一部のウイルス病で利用されているにすぎません。私たちは、ALSVベクターに病原ウイルス遺伝子の一部を連結し、そのワクチン効果を調べた結果、作出したALSVワクチン株が重要なウイルス病にワクチン効果を示すことがわかりました。将来は、ALSVワクチンが植物ウイルス病の防除に使われる時代が来るかもしれません。
准教授:磯貝 雅道(いそがい まさみち)研究内容ブルーベリーなどの寒冷地果樹に感染するウイルス病の検出・同定およびそれらウイルス遺伝子の機能解析を行っています。 担当科目植物ウイルス学、植物病理学実験 メール:isogai(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:2号館3階304号室 寒冷地低木果樹に感染するウイルスの研究" 近年、盛岡など東北地方ではブルーベリーやラズベリーなどの低木果樹栽培が急速に拡大しています。そして、世界的にも健康志向の高まりから拡大しています。その中で、海外では多数のウイルスがブルーベリーやラズベリーに感染して甚大な被害を引き起こしており、その被害は数百万ドルにおよぶこともあります。一方で、日本ではウイルス病と思われる樹が数多く存在しているにもかかわらずそれらウイルスの調査・研究は行われてきませんでした。そこで、寒冷地低木果樹に感染するウイルスの研究を開始しました。これまで、海外で発生しているウイルスが日本のブルーベリーやラズベリーに感染して病気を引き起こしていることを明らかにしました。これらウイルスは日本の植物検疫対象のウイルスで果実生産に有害な損害を与えるウイルスでした。さらに、海外で発生しているウイルス以外にも、世界未報告の新種ウイルスが日本に発生していることを明らかにしました。 本研究は、圃場での調査から実験室での分子生物学的解析まで幅広く行い、基礎的研究で得られた知見とその応用により病害防除に貢献します。 図1 Raspberry bushy dwarf virusに感染したレッドラズベリー Raspberry bushy dwarf virus (RBDV)はラズベリーに黄化病を引き起こします。海外で、RBDVは重要病原ウイルスです。たとえば、RBDVは感受性品種の個別急速冷凍用実生産において$1,000/acre/年の損失をもたらし、品種によっては5-6年で圃場内のすべての個体に感染してしまう強い伝染力を持っています。 図2 ブルーベリー赤色輪点ウイルスに感染したブルーベリー ブルーベリー赤色輪点ウイルスはブルーベリー赤色輪点病を引き起こします。近年、海外でもその発生が再び増加しておりリイマージングウイルスといわれています。"
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