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生体熱制御システム研究分野ザゼンソウをはじめとする発熱植物の熱産生システムを構成する要素群を同定・解析するとともに、そのシステム制御メカニズムを明らかにする。 教授:伊藤 菊一(いとう きくかつ)研究内容発熱する植物等を対象に呼吸制御メカニズムの解明とその応用に関する研究を行っています。 担当科目植物ストレス応答学、基礎生物学実験 メール:kikuito(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:7号館2階209号室 植物の発熱現象植物は哺乳動物とは異なり、自らの体温を調節することなく、外界の気温とともにその体温が変動するものと考えられてきました。ところが、驚くべきことに、ある種の植物には、自ら発熱し、体温を調節できるものが存在します(図参照)。例えば、早春に花を咲かせるザゼンソウ(Symplocarpus renifolius)は、氷点下を含む外気温の変動にも関わらず、その肉穂花序の温度を20℃内外に維持する能力を持っています。このような、いわば恒温植物としての特徴を持つザゼンソウにおいては、外気温を検知する温度センサーを含む発熱制御システムが存在していることが予想されます。これまでの研究により、ザゼンソウの温度制御アルゴリズムは「Zazen attractor」に特徴付けられるカオス的な振る舞いが関係していることが明らかになりました。また、ザゼンソウの恒温性を保証する温度センサーはその発熱器官である肉穂花序に存在するとともに、その温度閾値は、±0.03℃/minと極めて鋭敏であることが判明しています。現在、このようなユニークな特徴を有するザゼンソウの発熱制御システムの解明および応用に関する研究を行うと共に、ザゼンソウ以外の国内外に自生する発熱植物の熱産生メカニズムについても解析を進めています。また、ザゼンソウの発熱制御アルゴリズムを搭載した温度調節計が産学連携研究により2010年に実用化されました。この新しいザゼンソウ型温度調節計は、使い方によっては大幅な省エネルギーが達成されることが明らかになりつつあります。このように発熱植物研究は、我々が直面しているエネルギー問題への貢献が期待されるとともに、持続可能な地球社会の実現にも少なからず影響を与えるでしょう。
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