|
研究室・教員一覧
家畜生産生理学研究室 ウシやヒツジなどの反芻家畜は、人間の食料と競合せずに乳、肉など生産することができます、この栄養のしくみは、反芻家畜の第一胃に生息する微生物と宿主である反芻家畜との絶妙な共生関係の上に成り立っています。本研究室では効率的で地球環境に配慮した動物性タンパク質の生産を目指し、同位元素希釈法やガス交換法といった最新の研究テクニックを駆使してウシやヒツジの栄養のしくみを解明する研究を行っています。 教授:佐野 宏明(さの ひろあき)研究内容地球環境に配慮した良質な牛肉や乳製品の生産を目指し、反芻家畜の栄養のしくみについて研究しています。 担当科目動物栄養学、家畜生産生理学、動物科学実験 メール:sano(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:3号館3階320号室 反芻家畜における栄養素代謝制御の解明 ヒツジ、ヤギ、ウシなどの反芻家畜は、人間の食糧と競合せずに肉、乳製品などを供給できるという、他の家畜にはない優れた栄養の特徴を持っています。この特徴は、反芻家畜が4つの胃、特に第一胃(ルーメン)を持っていることに基づいています。しかし、反芻家畜の栄養素代謝は複雑なので、現在でも未解明な点が数多く残されています。私たちの研究室では、反芻家畜の生産性向上、植物系バイオマスの有効利用、地球環境の保全を同時に達成することを目指し、反芻家畜の栄養素代謝に焦点を当てて以下のような研究を進めています。 1 反芻家畜における糖・タンパク質・エネルギー代謝制御の解明 同位元素希釈法やガス交換法を主な実験手技として反芻家畜における血液グルコース、アミノ酸、揮発性脂肪酸代謝、タンパク質合成およびエネルギー代謝の栄養条件(給与飼料、栄養水準、漢方薬などの機能性成分)、温熱環境(寒冷、暑熱)、生理状態(成長、妊娠、泌乳)および内分泌(インスリン)による制御に関する研究を実施しています。 2 植物系バイオマスの機能性検索および飼料化 植物系バイオマスを有効利用するため、ヘラオオバコ、ホップ蔓葉、ニンニク茎葉、おからサイレージなどに着目し、これらの飼料成分、機能性成分を測定するとともに、反芻家畜への給与試験を実施しています。最近、飼料イネ、きのこ廃菌床の研究を始めました。 3 反芻家畜のための飼料給与技術の開発―主に、代謝タンパク質システムについて 反芻家畜では、飼料タンパク質はルーメン微生物によってアンモニアまで分解された後、微生物自身のタンパク質合成に利用されるため、体内におけるタンパク質の利用量をタンパク質給与量から計算することはできません。そこで、体内で利用できるタンパク質量を精度高く推定できる新たな飼料タンパク質の評価方法「代謝タンパク質システム」が注目されるようになりました。泌乳牛やヒツジを用いて種々の飼料のルーメン内タンパク質分解性、消化管内通過速度、さらにはルーメン内微生物態タンパク質合成量などを測定することにより、代謝タンパク質システムの構築を目指しています。 4 反芻家畜からの温室効果ガス放出抑制 メタンは二酸化炭素の約25倍もの温室効果を有する強力な温室効果ガスの一つです。野生動物も含めた反芻動物から放出されるメタンの量は、生物起源では最も多いといわれ、メタン放出量の削減が強く求められています。そこで、様々な飼料、飼料添加物、機能性植物などを給与したヒツジのメタン放出量を測定することにより、メタン放出量の少ない飼養管理方法を確立することを目指しています。 写真1:ウシ君 写真2:血液採取
|