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動物栄養機能学研究室 動物の病気を予防する目的て、「動物の免疫能を活性化する飼料サプリメントの開発」を研究しています。また、環境リサイクルに関する研究も行っています。 准教授:小田 伸一(おだ しんいち)研究内容ウシやヒツジの栄養と病気の予防につながる免疫能の活性化についての研究やミミズの研究を行っています。 担当科目動物栄養学動物科学実験人の暮らしと生物環境 メール:soda(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:3号館3階323号室 動物の免疫能を活性化する飼料サプリメントの開発 反芻家畜は、ヒトが栄養として直接利用することのできない粗剛な草を食し、ヒトにとって良質な栄養分である乳、肉等を提供する動物であり、基本的にはヒトと食物競合することのない家畜です。その反面、現在の高能力家畜の生産性は、一般に濃厚飼料多給に依存しており、そのために生産病に陥る危険が伴います。また、口蹄疫をはじめ多くの疾病にも罹患する可能性があります。 そこで、まず、動物の自然免疫能の季節変動や日内変動を調べることで、生理的変動パターンを知ります。次いで、どのような時期にどのような免疫能を調節すれば、病気の予防に最も効率がいいかを検討します。そして免疫能の調節に適した飼料サプリメントを開発し、日常の飼養管理の中に組み込みます。このような発想で、試験研究を進めているところです。 また、家畜とは異なり、より環境に配慮した研究への取り組みとして、ミミズを利用した産業廃棄物処理にも注目しています。シマミミズは主として繊維質を餌とすることから、草食家畜の糞を餌として利用してミミズ養殖を行います。すると糞の容積を大幅に低減できることと、糞が含有する窒素やリンといった過剰なエネルギー(主に外国から輸入した飼料資源に由来する)をミミズの虫体に取り込み、別の場所へ移送することが可能になります。しかしながらミミズによるリサイクルには一長一短があり、ミミズの養殖そのものが、そんなに簡単なことではありません。(慣れてしまえば大した手間ではありませんが。)このリサイクルを有効に活用するには、ミミズの有する機能性がキーポイントになります。ミミズから抽出・精製した画分には細胞増殖効果や分化促進因子が含まれる可能性があり、今はその応用に関する研究を進めているところです。 次いで、研究対象として、生後間もない哺乳反芻動物に着目しました。哺乳反芻動物は、ヒトをはじめとする単胃動物と栄養素の吸収の仕組みが同じであり、離乳・発育に伴い第一胃が形態・機能ともに発達することで反芻動物へと移行します。したがって、哺乳期の栄養素吸収能を維持させる、あるいは再び発現させることで、成反芻動物で低下すると考えられる栄養素吸収能を単胃動物に匹敵させることができるのではないかと考えました。現在、離乳前・後の子牛から採取した腸管粘膜細胞の刷子縁膜に存在する、Na+依存性グルコース吸収に関わるタンパク質の発現量をノーザンハイブリダイゼーションにより解析を行い、その発現が調節可能か否かを検討中です。今後は、栄養素吸収能を上げることができるような飼料を開発し、より効率のよい飼養法を提案したいと考えています。
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