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研究室・教員一覧
実験動物学研究室実験動物学は科学的・倫理的に適正な動物実験を追求し、それを成立させるための学問といえます。マウス、ラット等のげっ歯類をはじめとする広範な動物種が対象となります。実験動物の特性を明らかにするための解剖学・生理学、新しい実験動物を開発するための遺伝育種学・発生工学、健康な実験動物を維持するための疾病学といった広範な学問領域から構成される総合科学です。 准教授:山田 美鈴(やまだ みすず)研究内容生理化学的実験手法を用いて、環境変化に柔軟に対応する動物のホメオスタシス維持機構を明らかにします。 担当科目動物生理化学・動物生理化学実習・動物組織学実習 メール: 教員研究室の所在: 低酸素応答に関わるサイトカインの発現制御機構 体内恒常性の維持は、地球上に棲む生物にとって必要不可欠なものです。喉が乾けば水を飲み、お腹がすけば摂食するー私たちも無意識のうちにとっているこれらの恒常性維持のための行動は、体内の感知機構と制御機構の巧妙な連携により保たれています。私は、環境変化に応じて柔軟に対応する生物の恒常性維持機構に興味を持ち、特に生体内の感知機構と制御機構を結ぶ情報伝達物質であるホルモンやサイトカインの分泌機序に着目しています。その中で特に、酸素濃度変化を感知・制御する機構に関する研究を、貧血や低酸素に反応して造血促進するerythropoietin(EPO)の発現制御機構の解明を通して進めています。 これまで、遺伝性腎疾患モデルマウスを用いて、EPOの産生制御機構について調べてきました。慢性腎疾患においては、腎機能低下に加えて貧血(腎性貧血:慢性的な全身性低酸素状態)が頻発し、Quality of Life の維持に重大な影響を与えていますが、その詳細な発症機序は長年にわたって未解明のままとなっています。私は、腎臓でのEPO産生細胞を同定し、腎性貧血の発症がEPO産生細胞の機能低下に起因するEPO産生不足であること、腎疾患モデルマウスでは肝臓でもEPOが代償的に産生されていることを明らかにしてきました。 現在も引き続き、腎臓EPO産生細胞の低酸素に対する感受性の低下、および腎臓以外の臓器でのEPO産生機序について研究を展開しています。正常な情報伝達物質分泌機構がどのように保たれているのか、ミクロからマクロまで幅広い最先端研究手法を取り入れて、多面的に生命現象を解析していきたいと考えています。
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