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岩手大学農学部Faculty of Agriculture, Iwate University
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獣医病理学研究室

病気のメカニズム<病理発生>を研究し、病気の診断・治療・予防に貢献しています

教授:御領 政信(ごりょう まさのぶ)

研究内容

病理解剖学、病理組織学、免疫組織科学などの手法を用いて、動物・家禽の病気の成り立ち・診断学を研究しています。

担当科目

動物病理学、動物組織学実習、鳥類疾病学

メール:goryo(at)iwate-u.ac.jp

教員研究室の所在:3号館2階226号室

動物の細菌,原虫およびウイルス性疾患の成り立ち

 近年、従来それほど病原性が強くなかった病原体が突如高致死率を示す、あるいは未知の病原体の出現など、いわゆる「新興・再興感染症」が鳥類疾病の中でも注目されるようになってきています。著者らは家禽疾病の中で、特にトリアデノウイルス(FAV)、マレック病ウイルス(MDV)、トリ白血病/肉腫ウイルス(ALV)、鶏貧血ウイルス(CAV)および大腸菌に関連する疾患について研究を行っています。
 FAVは封入体肝炎の病原体として1970年代に流行した疾患で、その後平静を保っていたが、1980年代後半には心膜水腫症候群が出現、最近では封入体膵炎、筋胃び爛の原因としても注目されるようになってきました。野外封入体肝炎例よりFAVを分離・同定、継代実験を行い、臓器・組織親和性、病原性の変化について検討を進めているところです。最近では、ブロイラーの幼雛での発生がみられ、卵黄_上皮での増殖性が確認されており注目されています。現在まで20数株のFAVを分離しており、種々なプライマーを用いたPCR法で検索することにより病原性との関連性を明確にすれば早期診断法の確立が期待されます。MDVに関しては、米国ではワクチン株の作用を打ち破る超強毒MDVの出現が報告されていますが、日本におけるその状況は不明です。著者らはMDVとCAVとの混合感染により高致死率が発現することを明らかにしており、その機序については現在進めているところです。ALVに起因する疾患は、古くから世界各地で散発的に見られていましたが、感染しても発病率が低く、育種選抜により感受性鶏が淘汰されたことによりあまり問題とされてきませんでした。しかし、1988年英国のPayneらは従来の亜群と異なる骨髄球腫症を惹起する新たなALV‐J亜群を報告し、注目されるようになってきました。現在、野外例よりALV‐J亜群を分離同定、感染実験を実施、形態学的特徴について明らかにしてきました。
 最近では、大腸菌症の防遏に関連する研究を主体的に行っています。ブロイラーの食鳥処理場における廃棄では、大腸菌症が最も多い疾患となっており、亜急性漿膜炎型に加えて蜂窩織炎の発生も知られるようになってきています。これらは、抗菌剤を使用できない時期に発生することから、どの時期でも利用できる添加飼料について検索しており、特に免疫能を高め、マクロファージの貪食能が期待される添加飼料の効能について感染実験および野外試験など実証試験を行っているところです。


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