|
研究室・教員一覧
小動物病態内科学研究室研究室ホームページ私たち小動物病態内科学研究室では、伴侶動物(家族の一員である動物たち)の病気を研究しています。敵を制するには、相手をよく知ること!病態の解明と新たな治療戦略について研究を重ねています。 教授:佐藤 れえ子(さとう れえこ)研究内容小動物の腎臓病と猫の免疫不全の原因と治療法を分子生物学的手法で研究し、実際の症例に応用します。 担当科目獣医内科学、獣医臨床病理学、獣医内科学実習 メール:reekos(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:3号館2階216号室 動物の新しい腎臓病診断方法の開発とネコ多発性嚢胞腎に関する研究一、 動物の腎臓病診断方法の開発−尿中バイオマーカーの検討
これは動物の腎臓病の早期診断や、経過途中の病状の進行モニターとして、尿中に含まれる酵素や生理活性物質などを利用しようという研究です。というのも、動物の場合症状の有無を私たちに伝えることが出来ませんので、病気が重症化するまで気付かないことが多いのです。そのため、獣医療においては、血液検査はもちろんのこと、腎臓病に関しては尿の精密な分析が重要となってきます。すなわち、尿中には腎臓に関する豊富な情報が満載というわけです。尿中に含まれる物質はたくさんありますが、私たちはその中から腎臓病の病態を反映出来る尿中バイオマーカーとして、尿中酵素のNAGや、その他にTGF-β、NGALなどを選び出し、これらの尿中排泄について研究しています。これらの研究を通して、動物に負担の少ない新しい診断方法が開発されるものと思われます。現在の所、動物では有効なバイオマーカーがほとんどない状態ですので、研究の有効性が確認されれば、臨床面で広く応用されることになると期待しています。
二、ネコ多発性嚢胞腎の病態解明と治療法に関する研究
猫の多発性嚢胞腎は両方の腎臓に嚢胞という袋がたくさん出来て、そこに水が溜まる病気です。これはペルシャ猫や,その他の毛の長い猫に多いとされ,その病因はPKD1という遺伝子の変異による遺伝病とされています。嚢胞は、腎臓の尿細管細胞が異常な増殖をするために持続的に大きくなり、嚢胞の内部に水分がどんどん分泌されて、さらに大きさを増します。人でも同様の遺伝病があり、難病指定されています。この多発性嚢胞腎が遺伝子変異によって発症するのはわかっているのですが、その後何故嚢胞細胞が増殖して、しかも水分が嚢胞内に輸送されるのかというメカニズムについては、人でも動物でも未だはっきりとはわかっていません。私たちはCFTRというタンパクに注目して、ネコに発症した嚢胞腎における発現を詳しく分析することによって、このメカニズムを明らかしようと研究を続けています。また、嚢胞細胞の培養を試みて、各種治療薬に対する反応性を調べて、ネコの腎臓の嚢胞形成を抑制する薬物の研究も同時に行っています。
助教:小林 沙織(こばやし さおり)研究内容小動物の免疫不全や遺伝疾患の病態のメカニズムを解き明かし治療法を探ります。 担当科目小動物内科学実習、総合臨床実習、基礎生物学実験 メール:saoriki(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:3号館2階218号室 小動物の免疫不全疾患における病態のメカニズムを解明し新規治療法を探る 生物は、様々な病原体から身を守るために巧妙な生体防御機構を発達させてきました。生体防御機能は生きていく上で備わっている必要不可欠な機能であり、生体防御機構の破綻は生存の危機を意味します。 私は、小動物の免疫不全疾患における生体防御機構について興味を持っています。特に、先天性疾患としてイヌの好中球機能不全症、後天性疾患としてネコ免疫不全ウイルス感染症における生体防御機構について、細胞、分子および遺伝子レベルでの病態解明を目指し研究を進めています。また、本研究を進展させることで、新規の治療に応用可能な知見を提供できればと考えています。
(1)先天性好中球機能不全症は幼少時からの易感染性が特徴で、イヌでは純血種でいくつかの報告がされていますが、発症原因など未だ不明な点が多くあります。私は、免疫学的および分子遺伝学的手法を用いて新しいタイプの先天性好中球機能不全症を見つけ、貪食レセプターの遺伝子レベルでの発現制御異常が原因であることを明らかにしました(図1)。さらに、原因遺伝子発現を制御する新たな物質を見出したことから、その発現制御機構の解析を進めることによって本症の分子・遺伝子病態の解明とそれらに基づいた診断および治療法の開発を目指したいと考えています。
(2)未だ根治療法がないネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染症では、ウイルスによる直接的な細胞傷害だけでなく、慢性化した免疫細胞の活性化状態が機能不全をもたらし、結果として免疫不全状態となっていることが研究を進める中で次第に明らかとなってきました(図2)。私は、免疫細胞の慢性的な活性化状態が本症の病期進展に深く関与していると考え、FIVの慢性持続感染に対し免疫細胞が慢性活性化するプロセスに着目し、細胞活性制御機構の解析を進め、細胞の機能保持につながる治療の基盤となる研究を目指しています。 キャプション:罹患犬における好中球殺菌能の著しい低下(A:罹患犬Case#1&2 健常犬Controls)と原因遺伝子であるβ2インテグリン遺伝子の発現低下(B:Case#2)
助教:内田 尚宏(うちだ なおひろ)研究内容準備中 担当科目準備中 メール:nuchida(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:準備中
|