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水環境工学研究室准教授:濱上 邦彦(はまがみ くにひこ)研究内容農業農村地域の水利施設における水環境の保全・改善に関わる研究を行っています。 担当科目水理学、基礎数学入門、応用数学 メール:ham(at)iwate-u.ac.jp 教員研究室の所在:1号館2階209号室 農業農村地域には、大小様々な水利施設があります。貯水を行うダム・ため池や、水を運ぶ河川・用排水路やパイプライン、頭首工など多様な水利施設が安定な農業生産を支えています。これらの施設は農業生産のみならず、洪水調整や景観形成など多くの役割を果たしており、人々の生活になくてはならぬものです。近年、これらの施設の多くが老朽化しており、持続的な利用のためのストックマネジメントが求められています。さらに、人々の生活の近代化による水質汚濁が進行しており、その対策が急務となっています。 このような水利施設の一つにため池があります。ため池は古くから日本の農業生産を支える重要な水利施設であり、全国に約21万箇所、その約1割が東北地方に存在しています。ため池の主な役割は農業生産のための貯水および洪水緩和機能ですが、その他にもレジャーとしての親水空間、生態系の保全機能など多面的な機能を有しています。 ため池の持つ特徴として、流入流出が少ないために、水域内の流れが乏しく自浄作用が低い点が挙げられます。すなわちため池の水質は悪化しやすい環境にあると言えます。そのため、護岸工法や曝気施設の設置など様々な水質改善策がとられています。このような中、ため池における水質改善の一手法として、水生植物の栄養塩吸収能を用いた水質浄化法が提案されており、環境調和型技術として注目されています。しかし一方で、水面における水生植物の過剰な繁茂は、流れの駆動力となる風や熱の作用に影響を及ぼすと考えられます。こうした側面から、水生植物を用いた水質浄化技術はいまだに確立されておらず、現場で試行錯誤的に行われています。 そこで、私は水生植物が水質浄化能を最大限発揮するような水域管理手法を確立することを目的として、閉鎖性水域の流動および水質に関する研究を行っています。物理的側面からは、水生植物の繁茂する水域内の流動現象に関して、生物化学的側面からは、水生植物による栄養塩類吸収能についてそれぞれ検討しています。 研究内容: 主な研究内容としては、 1)水生植物の繁茂する閉鎖性水域を対象とした水温・水質観測による閉鎖性水域の流れと水質挙動特性の把握 2)熱的擾乱に基づく熱対流に関する、水面自然冷却過程におけるプリュームの発生特性と対流セルの発達特性、およびそれらに及ぼす水面被覆の影響の検討 3)機械的擾乱に基づく吹送流に関する、風波の発達と内部循環、およびそれらに及ぼす水面被覆の影響の検討 4)水生植物および水上栽培における栄養塩吸収能および熱遮蔽率に関する、屋外水槽を用いた生育実験による検討 5)水生植物を有する閉鎖性水域固有の流動現象に関する予測モデルの構築 など
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