岩手大学農学部附属動物医学食品安全教育研究センター(FAMS)は,「健康な家畜の生産から加工・流通を経て食卓に至るまで」いわゆるFarm to Tableで食の安全・安心に関する科学を学際的・横断的に希求し,その成果を地域と世界に発信する拠点として,2006年4月1日に設置されました。FAMSは現在4つの部門:企画調整部門,食の安全部門,動物生産部門および環境放射線衛生学部門で構成され,主に以下の活動を行っています。
(1) 食の安全に関する分野横断的な卒後教育・学部教育の提供
(2) 動物医療,家畜衛生,食品衛生等に関する研究推進
(3) 食品に関する学際的・横断的な教育研究連携拠点の形成
この中でも卒後教育には特に力を入れており,分野を問わず食に関わる人を対象にした「全体研修会」のほか,各分野の人を対象にした「部門別研修会」を毎年開催しています。近年食品衛生法が改正され,食品事業者に対してHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)方式に基づく衛生管理が義務化されました。一方,食の生産現場である農場においても,GAP(Good Agricultural Practice)や農場HACCPの導入が求められております。FAMSでは東北地域の関係団体とともに「東北農場HACCP研究会」を設立し,農場HACCPの普及支援活動も行なっています。
2020年以降のコロナ禍では,研修会を中止するなど活動を制限せざるを得ない状況もありましたが,一方でWebを活用することによって岩手県や東北地方のみならず,日本全国津々浦々から研修会等にご参加いただけることもわかり,FAMSの活動に新たな可能性が広がってまいりました。新型コロナウィルス感染症は近々5類に移行するとのことですが,それに関わらず今後ともWebを活用しつつ「Farm to Table」をキーワードに,教育,研究,ならびに社会貢献活動を充実してまいります。今後ともFAMSの活動にご理解と温かいご支援を賜りますよう,お願い申し上げます。