伴侶動物一般内科
担当:山ア真大、小林沙織、森田智也
この診療科では、犬や猫などのコンパニオンアニマルの内科疾患について診察します。
内科疾患とは、循環器病や呼吸器病、消化器病、泌尿器病、皮膚病、内分泌疾患、代謝病、感染症、神経病などの病気全般を指しています。
特に、当院内科診療科では、皮膚科・腎泌尿器科・内分泌代謝病・血液免疫病に重点を置いて診療を行っています
病気について |
先天性メトヘモグロビン血症 |
犬バベシア症 |
伴侶動物一般外科
担当:片山泰章、星野有希
小動物外科学では、形成外科、軟部外科や整形外科、理学療法の分野に重点を置いて診療を行っています。
腎泌尿器専門診療科
担当:小林沙織(内科)、片山泰章(外科)、星野有希(外科)
泌尿器科では、コンパニオンアニマルの急性・慢性腎不全症や腎盂腎炎、尿路感染症、尿石症、排尿障害などの泌尿器病について、画像診断や腎機能検査、尿中酵素測定などの精密検査を実施することにより診断し、血液透析・腹膜透析や輸液、食餌療法などによる内科療法ならびに泌尿器に対する特殊外科診断・治療を実施することによってコントロールすることを目的にしています。また、長期コントロールの必要な慢性腎不全や尿路感染症については、尿や血液の精密なモニターを実施し、再発や病変の急性の悪化に備えています。
泌尿器科で行う特殊検査としては,これらの他に最近増加傾向にある猫の多発性嚢胞腎に対する遺伝子診断を実施しています.本疾患は遺伝性疾病であるため,この遺伝子診断は猫の繁殖を計画している場合に保因猫の選別に有効です.この他,特殊外科治療法として腎移植も実施しています。
病気について |
猫の多発性嚢胞腎 |
猫の腎移植プログラム |
皮膚専門診療科
担当:山ア真大
アトピー性皮膚炎に代表される犬や猫の皮膚疾患はごくありふれた疾患で、命に別状もなくつい放置しがちです。しかしながら多くの場合強い痒みを伴い、動物へのストレスは多大なものとなります。また動物と一緒に生活する飼主にとっても、皮膚病の動物に由来するフケや抜け毛で住環境の悪化が避けられません。したがって犬や猫の皮膚疾患をコントロールすることはその動物のみならず、飼主のQOL(生活の質)改善にもつながります。慢性皮膚疾患は完治こそ困難ですが、正しい皮膚管理で見違えるように愛らしさが戻ります。深刻な皮膚病でお困りの方は是非ご相談下さい。
病気について |
アトピー性皮膚炎 |
神経専門診療科
神経科では、コンパニオンアニマルの脳、脊髄、末梢神経に起きる病気の診断と治療を行っています。一昔前までは、なかなか診断がつかなかった動物の神経病ですが、CTやMRIの普及により脳や脊髄の病気が早期から発見できるようになりました。また、ペットの寿命が延びてきたため、脳腫瘍を患った動物を診る機会も増えています。一度傷ついてしまった神経は簡単には再生しないので、早めに診断し、適切な治療ができるように努めています。
脳腫瘍
高齢の犬猫では、脳腫瘍を含めた神経の腫瘍が多く認められます。特に8歳を過ぎた動物で、うまく歩けなくなってきた、ケイレンをした、性格が変わった、などの症状がある場合は、精密検査をお勧めします。当診療科では、岩手医科大学のサポートを得て、超高磁場MRIを使った脳腫瘍の診断、および脳腫瘍の顕微鏡手術を行っています。
脊髄損傷
犬の脊髄損傷のほとんどは椎間板ヘルニアが原因で後ろ足の麻痺が主な症状です。損傷が比較的軽度で、受傷後の経過が短い場合には手術によりかなりの機能回復が望めます。しかし、受傷後の経過が長い場合や、短くても損傷が重度である場合は、手術を行っても機能の回復が望めないことが少なくありません。このような犬に対しては、リハビリテーションを中心とした理学療法を行い、また時には犬用の車いすを装着して生活の質を保ちます。当診療科では、このような重度脊髄損傷犬に対して、現在一般的に勧められているリハビリテーションよりも、もっと積極的なタイプのリハビリテーション(ロコモータートレーニングと呼びます)が必要だと考え実施しています(実際のトレーニングの様子が岩手大学のホームページにある 農学部紹介ビデオで紹介されています)。
腫瘍専門診療科
悪性腫瘍(がん)は人の場合と同じ様に大変怖い病気です。犬や猫でも近年死亡原因として増加傾向にあります。このくらいは大丈夫だろうと思わずに気になる事があればお気軽にご相談ください。
がんになると、どんな症状がでるの?
がんは体のどこにでも出来る可能性があります。そして必ずしもしこりを作って大きくなる訳ではありません。体の表面にしこりを作る腫瘍は発見も容易ですが、お腹の中などは発見が遅れがちです。もし、下にあげる様な症状が出た場合は、がんではないにしろ何か病気かもしれません。お近くの動物病院を受診される事をお勧めします。
- 持続し、だんだん大きくなる腹部の腫脹
- 治らない傷
- 意図しない体重減少
- 食欲不振
- 天然孔(口、鼻、肛門など)からの出血や分泌物
- 悪臭
- 嚥下困難(食べ物や唾がうまく飲み込めない
- 運動を嫌がったり、スタミナがなくなる
- なかなか治らない跛行や筋肉の凝り
- 呼吸困難、排便排尿困難
循環器診療科
担当:森田智也
犬と猫の循環器疾患(心臓病)を診察しています。犬と猫の心臓病には生まれつきの病気(先天性)と年を取ってからかかる病気(後天性)があり、そのどちらにも対応しています。
主な心臓病の症状は、「咳をする」「疲れやすい」「呼吸が苦しい(早い)」「倒れる」「お腹が張ってきた」など様々です。これらは心臓病だけではなく、呼吸器疾患(肺など)でも起こりますが、当診療科では両者に対応できる体制を整えています。
またこのような症状がある犬猫だけでなく、「元気はあるけど心臓に雑音や不整脈がある」「高齢になってきたので心臓の検診したい」などの場合も気軽に相談してください。
心電図検査、レントゲン検査、血液検査、心エコー図検査(心臓超音波検査)、CT検査などを使って診察を行っていきます。
心エコー図検査:
心臓病の診断や治療方針の決定には欠かすことのできない検査であり、本診療科で特に力を入れている検査です。麻酔をかけずに心臓の動きをリアルタイムに観察でき、血流の向きを見ることで血液の逆流などがあるかも観察できます。診断だけでなく、心臓の機能を測定することで、適切な治療や治療効果の判定に役立ちます。
僧帽弁閉鎖不全症 | 肥大型心筋症 |
CT検査:
心臓病と呼吸器病は密接に関連しています。どちらもがお互いを悪化させる可能性があります。麻酔をかけずに行うことのできるレントゲン検査や心エコー図検査では診断が難しい呼吸器病の診断にはCT検査が有用です。肺自体や肺の血管の詳細な情報を得ることができ、診断や治療に役立ちます。ただし麻酔をかける必要があるため、実施の判断は慎重に行っています。
整形外科専門診療科
担当:片山泰章
当診療科では、主に関節疾患や骨折などの整形外科全般、神経内科・外科診療科と協力し椎間板ヘルニアや椎体骨折などに対する神経外科手術を担当しています。特に膝関節の前十字靭帯断裂症に対しては、近年本疾患に対する術式のトレンドの一つとなっている脛骨粗面前進化術(TTA)を実施しています。本術式は大阪・東京エリアで主に実施されていますが、東北エリアにおける実施施設は皆無に等しい状況です。
内視鏡専門診療科
内視鏡を使用した動物に負担の少ない治療・検査を心がけています。
こんな症状があるときはご相談ください。
・嘔吐や下痢を繰り返す時
→レントゲンやエコー検査ではわからない事もあります。内視鏡検査で病気の原因が分かるかもしれません。
・異物を食べてしまった時
→手術で取り出さなくても、内視鏡で取り出せる可能性があります。
・腹腔内に異常がある
→でもはっきりとした原因がわからない時は、試験的開腹手術を行う場合があります。腹腔鏡を使う事によって、少ない負担で腹腔内の検査が出来ます。
・潜在精巣摘出、メス犬の不妊手術
→通常の方法よりも小さな傷で手術が可能です。そのため痛みも軽度で動物に負担の少ない手術です。
・上部気道内に異物がある時
・腫瘍の採材
臨床放射線専門診療科
臨床放射線専門診療科では、通常の画像診断のほかに断層撮影を活用したガイド下生検、MRI撮像による中枢神経系の病態診断などに対応しています。
CTガイド下生検
排泄性尿路造影
軟部外科専門診療科
担当:星野有希
体表・外皮系、生殖器、消化器、呼吸器などの各外科疾患について、伴侶動物一般内科、腎泌尿器専門診療科、神経専門診療科、腫瘍専門診療科、麻酔・疼痛治療専門診療科などの各診療科と協力しながら、最新の診断治療技術や関連研究に関する情報を取り入れ、積極的な外科治療を実践しております。身体の各部位に発生する腫瘍に関しては、身体検査、血液検査、各種画像診断や生検(バイオプシー)などの診断技術を駆使し、正確に病変の分布と病理組織診断結果を評価して手術計画を検討し、根治治療あるいは各ステージ・病態に応じた適切な治療を目指して実施しております。診療では、ヒト医療で使用されているものと同じか同等以上の診断機器(CT、MRI、エコー、X線透視装置、内視鏡など)、外科手術器械(電気メス、超音波凝固切開装置、手術用顕微鏡、手術器具など)、医療消耗品(ディスポーザブル手術用ガウン・グローブ・ドレープ、各種縫合糸、ステープラー、自動器械縫合器、血管クリップ、止血材、人工被覆材など)、治療薬(鎮静・麻酔薬、鎮痛薬、呼吸循環作動薬など)を用いております。手術に際しては、症例ごとに最適な治療方針についてご提案し、予想される予後やリスクとともに、飼い主様に丁寧に説明(インフォームドコンセント)して十分理解して戴いた上で、コミュニケーションを取りながら満足の行く治療成績を得られるよう心がけております。
超音波凝固切開装置を用いた血管肉腫の脾臓摘出手術
胆嚢摘出手術における血管クリップでの処理
口腔内腫瘍に対する上顎骨部分切除術による摘出手術
麻酔・疼痛治療専門診療科
全身状態の悪い動物の鎮静や麻酔を必要とする処置、長時間を要する外科手術や難易度の高い外科手術では、質の高い鎮静・麻酔管理が成功の鍵を握っています。当診療科の麻酔管理が目指すのは、術前から不安を取り除き、スムーズに麻酔導入を得て、術中は安全に循環呼吸管理と十分な疼痛管理をし、術後の痛みを最大限軽減し、ごはんをなるべく早く食べて退院し、速やかに機能が改善することをサポートすることです。最新の麻酔薬や強力な麻薬性鎮痛薬(オピオイド)などを組み合わせて各症例に最適な麻酔計画を立てて実施し、術中はトレーニングされた麻酔担当獣医師とチームスタッフが麻酔中の生体の変化を集中して監視し、周術期に適切に対応します。100%安全な麻酔はありませんが、麻酔のリスクと引き替えに、検査や手術などによって得られる恩恵を受けることができます。「安全な麻酔を可能にするのは、麻酔薬でも麻酔管理モニターでもなく、トレーニングを積んだ注意深い麻酔医である」ことを第一に大切に考えております。
また、伴侶動物の寿命は、飼育管理、飼料の高品質化、獣医学の発展などに伴い、年々伸び、高齢動物の幸せをますます考え、科学する時代になりました。ヒト医学と同じように、高齢個体では、がん、心臓や腎臓などの病気が多く発生します。当診療科では、主にがんや整形外科疾患などの病気によって急性・慢性に発生し、個体の「生活の質」を著しく低下させる身体の「痛み」を最大限制御・治療し、動物の幸せと福祉の向上を目指します。動物の状態に合わせた痛みのケアについて、飼い主様のご要望をしっかりと丁寧に聴きながら、より適切な治療計画を提案して行きます。
鎮静剤と鎮痛剤の点滴による術後疼痛管理で落ち着いている症例
しつけ・行動相談室
担当:宮田真智子
問題行動は、起きてしまってから治療するよりも、起こる前に予防することが大切です。そのためには、飼う前にその動物の習性を予め知っておきましょう。特に子犬は、家に来たその瞬間からしつけが始まります。トイレのしつけをはじめとして、子犬の時期に教えておかなければならないことを具体的にご説明します。その他、問題行動でお困りの方、ご相談ください。予め病院受付にて受診予約して下さい。